地方競馬

 存続が危ぶまれている地方競馬。行政はNARの解散、地方共同法人を設立する方針を示し、主催者間の連携を高める狙いを打ち出した。確かに今の地方競馬はクラス編成もレースレベルもばらばら、日程はかみ合わず、制度上騎手の他競馬場参加も困難と、それぞれが独自に行っているのが現状。
 でも日程やクラス編成を統一化して連携を高めている南関東4場の業績が、(地方競馬の中では良いのだろうけど)そこまで良くないのを考えると、この連携推進も爆発的な効果は得られないと思う。
 JRAもいまだに地方騎手に対して門戸を開ききっていないし、JRAや行政による改革は期待できそうにない。

 そこで外堀から埋めていけば、ということになるのだが、いかんせんマスコミの意識がダメ。そこらへんのメディアが中央よりなのはともかく、競馬に携わっているマスコミ関係者も中央しか考えていない。この年始の競馬番組で相次いで中央しか考えていない発言がされて正直がっかりした。

 まずスーパー競馬田中勝春騎手の勝利インタビューの後、鈴木淑子さんが「勝春騎手にはどうしてもG1勝利がつきまといますから、今年こそ勝って欲しいですね」的発言。勝春騎手は暮れに全日本2歳優駿を勝っている。しかし周りは突っ込みを入れないまま番組終了。若槻千夏が言うならまだしも、競馬に長年携わっている淑子さんが言うとは。
 次に競馬ワイド中継。地方局でやっている番組だが、昨年を振り返るコーナーで、武豊G1を6勝と紹介。実際はタイムパラドックスで川崎記念・帝王賞JBCを、カネヒキリでJDDを勝利していて、G1は10勝している。
 そして今回のJRA賞。受賞馬は妥当なものだと思う。しかし内訳を見ると、最優秀ダート馬1位カネヒキリ(284)、2位メイショウボーラー(3)、3位タイムパラドックス(2)、4位ブルーコンコルド(1)となっていて、あまりにも差がつきすぎている感じがする。カネヒキリは中央G11つ、統一G11つ。対してタイムパラドックスは統一G13つ勝っている。格という意味では形式上差がない、むしろタイパラのほうが上なのにこの結果。さらに、ボーラーは中央G1を1つ勝ったのみで、タイパラとの直接対決でも負けている。なのにボーラーのほうに票が入る。明らかに統一軽視である。

 これらに共通しているのは、統一G1を地方G1として扱っているという点である。統一G1はJRA・NARの共通基準によるG1であり、東京ダービーマイルグランプリ*1などの地方G1とは別物なのである。
 確かに中央のG1よりも見劣りするレースが多い。芝中心の競馬界の中で統一G1はダートのみである。しかし、上の事例からして、マスコミは軽視しすぎている感じがする。

 このままいけば、行政は団体に改革を任せ、中央は地方を助けず、援助を煽る役目をマスコミが担わず、結局ずるずると廃止されていくのではなかろうか。

 対案なき意見は愚行とわかりつつ書いてみた。地方廃止→馬産地大打撃→社台ら大牧場だけ生き残る→社台とJRAによる中央競馬→底辺の縮小によるレベル低下→時すでに遅し、になる予感。せめてもの救いは、武豊が統一G1をG1としてしっかり認識していること(昨年始めの目標にG1を10勝と掲げ、その後日記で達成報告)。内田利雄が制度を変えさせて条件付でもどうにか全国を回れるようにしたように、アンカツが中央移籍を懇願して試験制度を変えさせたように、騎手が物事を動かしていかないとならないのかも。

*1:訂正。いつのまにかG2になってた。