キングコングについて妄想的考察

前提として、レコーディング・ダイエットのススメ: 芸人のジレンマ

キングコングは「楽しい」系体育会。

そもそも僕達がM−1に参戦しようと思った理由はいくつかある。
去年のM−1で先輩達が戦う中、合間のCMに僕達が出ていた事に恥ずかしさを覚えたこと。「先輩方が戦っている時に自分は何をしてるんだ」という気持ちが芽生えたのだ。
もう一つ理由がある。
例えば僕が『はねるのトびら』の回転SUSHIのコーナーでキャッキャと、はしゃいでいる姿を一部のお笑い芸人や一部のお笑いフリークは「芸人のクセに・・・」といったアンチテーゼが込められた意見を持っていたと思う。
僕はそういう奴らに対して純粋に腹が立つから「そんじゃ、お前らが信じてやまない舞台芸で勝負したるわい」という気持ち。相手のお家芸で圧倒してやるのだ。
そういうのがあって僕はM−1に参戦した。

http://mycasty.jp/nishinoakihiro/html/2007-12/12-10-889611.html

▼これは、12/10に更新された西野のブログの一部。アンチテーゼ(笑)はおいといて。ここからキングコングは、少なくとも西野は、「面白い」よりも「楽しい」を重視しているんじゃないかと。先輩が頑張ってるのに俺は何してるんだという気持ちを持ってるけど、でもTV的面白さ=「楽しい」を自分は重視してて、それを馬鹿にされてムカついてそいつらよりも上に行ってやろうと思ったわけだ。
 しかもその上への行き方が直球勝負で、相手の土俵で真っ向から潰すというやり方。見聞きした話だとキンコンは結構正統派の漫才をするらしいので、多分その辺にもこの「正面からぶつかって上に行く」っていうスタンスが出ている気もする。このあたり、体育会系なにおいがする。

キングコングのM-1におけるポジション

▼体育会系なにおいがするといってもやはりほかの芸人とは違って、あくまでも「楽しい」を重視する体育会系である。
 一方で、M-1に挑戦するほとんどの芸人、吉本興業の多くの芸人たちは、「面白い」ことを重視している。TVに出る=売れると認識されているにもかかわらず、またそれにアジャストするために「楽しい」芸人にもなろうとしているにもかかわらず、それでも心の底では「面白い」ことが芸人の腕の上下を決める評価基準として至上なものだ思っている。だから岡田斗司夫のブログに書いてあるようにM-1やダイナマイト関西みたいなガチンコ企画が盛り上がってるのである。
 そういう面白い系体育会イベントに真っ向から挑んだ異端児というのがキングコングのポジションであろう。それで決勝まで残れたのだから、十分ギャフンと言わせられたのではないか。

キングコングの今後の不安

キングコングといえばはねるのトびらなわけだけど、あれは「楽しい」に強くフォーカスした番組だと認識している。また芸人が数グループ出ているのもあって、どうもめちゃイケとダブらせてしまう。めちゃイケといえばもう成熟期に入って、それこそマンネリ化しつつあるわけだが、もしはねトびもその道を行くとして、そのときキンコンはTVの中で生き残れているのであろうか。
 めちゃイケのメンバーでいえば、極楽加藤はキャスター業、司会業をしている。よゐこニッチな路線に進み、濱口は小学生のスターに、有野はゲーマーやオタクのスターになっている。ナイナイはバラエティの司会をしている。これぐらいのポジションにキンコンがなれているであろうか。
 個人的にはどうにも「楽しい」系体育会芸人というスタンスがそれを邪魔しそうな気がする。その真正面からぶつかる強い体育会系的なスタンスはニッチへ逃げることを許さないだろうし、かといって「面白い」畑から「楽しい」系に移行したナイナイや加藤とは違ってもとから「楽しい」畑であるキンコンがステップアップできるかというと、うまく説明できないんだが難しい気もする。
 同じ「楽しい」系体育会芸人というととんねるずがそれに該当する気がするのだが、彼らがいまでもTVの中で生き残っているのは、特に石橋が生き残っているのは、過去に一時代を気づいたという経歴があるからではないか。一方キンコンはそこまでの経歴を残せていない。
 そう考えると、キングコングはこのさき今までの先輩の路線を目指して進んで成功できるかというと、結構不安だと思う。むしろ自分で切り開いていくぐらいの気持ちで行かないと。

おまけ。キンコンとオリラジ

▼TV的に成功しててM-1にも挑戦ってことでどうにもこの2組は被ってしまうんだけど、キンコン(西野)は好戦的なんだけどオリラジ(中田)はかなり謙虚で自分たちは芸が伴ってないって認識してて、またキンコンは「楽しい」畑だけどオリラジは「面白い」畑のように見えるので、この2組はただTV的に成功してるからってことで同じグループに入れるのはいけない、むしろ180°に近いぐらい反対に位置していると捉えたほうがよさそう。

さらにおまけ。面白さ認識判定法

▼漫才だと技術とかも絡むし、それに漫才を見られる機会が少ないからどうもTVとかも混ぜて総合的に判断しちゃって、その人の面白さのみを純粋に判定するってのはやりづらい。そういうとき自分がその人のネタの発想力や面白さをどれぐらい評価しているのか測るなら、「仮にその人が投稿コーナーの選者になったとして、その投稿コーナーは面白くなるのか否か」を考えてみればいいんじゃないかな〜。もしくは「その人がダイナマイト関西に出たらどれぐらいまで進めるか」を考えればいいんじゃないかな〜。そうすればだいたい自分がその人の面白さに対してどれぐらいの評価を下しているのかがわかると思う。